背中から抱きしめて痕をのこした。はじめは首に。
金の糸を口に含んで項に、そして肩に。
やがて立ち昇る芳香に覚えがあった。
ひとのようでない、または純粋なひとそのもののような。
零れたためいきを聞いて、細い体を腕の中で返す。
欲情を押し殺した目の色に、思うのは今にも爆ぜ割れそうなあの赤い実。
「・・・良いんだ」
流されてしまえ。
脆さと美しさを告げる言葉のかわりに名を呼ぼうとして止められた。
暗闇の中、咎めるような指に。
「・・・待って」
まだ、駄目だ。
その冷たくて白い指は、そのまま俺の両目を塞いだ。
ああ。
そうしてお前は忘れろと言うんだな。
一度覚えたあの実の味を。
人の肉にも似て甘い。